生物デザインのひとつの完成形 トンボ

 夏休み真っ盛りです。昆虫図鑑や恐竜図鑑は今も昔も多くの子ども達の愛読書のように思いますが、今から3億年程前(2億9千万年前)の古生代(石炭紀後期)に生息していた(所謂※)巨大トンボ「メガネウラ(絶滅種)」は図鑑の中の憧れの存在でした。ネガネウラの化石の画像を見てみると、現在のトンボ(の仲間)とよく似ている姿(デザイン)である事に驚かされます。水平方向に開く四枚の羽根。その羽根を動かす丈夫な胸部。左右の大きな目。細長い腹部。飛翔能力と獲物の探査能力に優れたトンボ型のデザインを得た事で、(地球大気の酸素濃度が変化し、体のサイズは変わりましたが)様々な種類のトンボ(の仲間)が現在でも地球上に存在し続けているのでしょう。唯一のネックは(昆虫全体に該当しますが)気門・気管システムによる酸素取り込み能力の限界値でしょうか。

 園内に生息しているカワトンボは文字通り水辺に暮らすトンボですが、低速飛行が得意なようで、涼しげな川岸の枝葉の中を巧みに行動しています。夏休みの一日、生物の進化と分化に思いを馳せながら、トンボの行動を観察してみては如何でしょうか。

参考:ハーバードマガジン November-December 2007 

「Treasure DRAGONEfly」〜The largest complete insect wing ever found〜

https://harvardmagazine.com/2007/11/dragonfly-html

 

ハーバード大学自然史博物館の所蔵化石データベースより

https://mczbase.mcz.harvard.edu/name/Meganeuropsis%20americana

 

※メガネウラは既に絶滅した原蜻蛉目に属し、現在の蜻蛉目とは異なりますので、本文中では「所謂」と表現しています。