ツキノワグマの出没現場を調査  〜山の木の実の不作が原因なのか?〜

 今日(R02.08.11)の新潟県魚沼地方は快晴の朝を迎えています。守門アメダス観測点における最低気温は22.1度、日中の最高気温は34度と予想されています。フィールドでの自然観察は、涼しい早朝の時間帯がおすすめです。

 さて、連日各地でツキノワグマの出没と人身事故が報告されています。登山者のテントの中にクマが入ったり、住宅の窓ガラスを割ってクマが室内に侵入したり、ツキノワグマが人間の生活圏にまで活動範囲を広げていることに多くの方が驚いているようです。こうした事案の原因として「山の木の実が不作なのでは?」「奥山の開発行為で人間が動物の居場所を奪ったからでは?」などの意見が寄せられています。

 そこで「自然観察」と「トラッキング(野生動物の痕跡検証)」の手法を用いて、昨日(2020.08.10)の夕方、ここ数日「若いツキノワグマ」が頻繁に目撃されている場所(新潟県魚沼地方の某所)を調査しました(エコミュージアム園内ではありません)。この場所の調査で浮かび上がってくる背景ですが、

 

・成長を続ける旧薪炭林の里山(標高約500m)が周囲に広がっている。

・その里山はブナの自然林が広がる奥山(標高1500m)に続いている。

・キャンプ場やサッカーグラウンド、芝生広場が里山の中に設置されているが、

 新型コロナ感染症の関係で今年の利用者は平年よりも少ない。

 また、繁忙期と閑散期の利用頻度の差が大きい(平日はほぼ無人)。

・里山に近い集落内の神社の近くでもツキノワグマが目撃されている。

・魚沼地域におけるオニグルミやクリなどの木の実は平年並の作柄。

・魚沼地域においては「クワの実や野イチゴが著しい不作」との印象は無し。

・周囲には耕作されていない田畑があり、その面積は年々増加。

・目撃されているツキノワグマは子クマから若クマの大きさ。

・子クマの鳴き声を聞いたという情報あり。

・目撃時刻が朝晩に加えて午後1時頃と日中の場合もある。

・ニホンザルやイノシシの目撃も頻発している。

・以前は見かけなかったニホンジカの目撃情報もある。

 

という状況にあります。

 

 さて、この場所におけるツキノワグマ出没の理由は何でしょうか?