里山のツキノワグマ 11 〜交差する獣道(けものみち)〜

 今朝(2020.09.14)も夜明けの定点観察を里山エリア(エコミュージアム園内ではありません)で実施しました。守門アメダス観測点の最低気温も19.7度となり、久しぶりに20度を切りました。気温の低下とともに、ツキノワグマの採食行動も一層活発になることが想定されます。

 さて、この里山エリアは最高標高が500mほどであり、水田が山頂付近まで広がっています。戦後に開墾された水田も多いのですが、ここ数年は耕作を休止した水田も見かけるようになりました。中にはニホンイノシシのヌタ場になっている水田跡もあります

 

<ニホンイノシシのヌタ場(泥浴する泥濘地)となっている水田跡>

 

 また先日ツキノワグマのフンを発見した同じ場所を、昨日はニホンザルの群れが通り過ぎて行きました。オニグルミの森ではホンドリスがオニグルミの実の運搬と貯蔵に忙しくしています。新潟県魚沼地方にあるこの旧薪炭林の森では数多くの野生動物を観察することができます。一般に「人間が野生動物の住処(すみか)を奪ったから人里に動物が出没する」と言われますが、定点観察地点のこの旧薪炭林について言えば「かつては人間の農業(水田)や林業(薪炭採取)の場所であったが、今では野生動物の住処(すみか)になりつつある」とも言えそうです

 

<霧雨に煙る旧薪炭林の里山には、多くの野生動物が生息しています>