里山のツキノワグマ 59 〜「山中の柿の実」を食べ始めた追跡個体SB1の性格は慎重?〜

 今日(2020.10.31)も里山エリア(エコミュージアム園内ではありません)の定点観察を実施しました。昨日(2020.10.30)は寒気の流入に伴い「あられ」も降る初冬を思われる時雨模様でしたが、今日の新潟県魚沼地方は昼前から徐々に青空が広がる好天となっています。また、今日の調査では「調査区の西端部を中心に採食行動をとっている」「ツキノワグマの追跡個体SB1」のものと思われるフンを発見・採取しました。そして、フンの内容物として柿の実の種やヒメグルミの外殻、アケビの種などが確認されました

 

<この里山エリアも紅葉が徐々に進んできています>

<追跡個体SB1の行動圏内で、ツキノワグマのフンを発見しました>

<昨日からの天候と雨量から判断し、昨夜から今朝にかけて排出されたフンと思われます>

 

ツキノワグマのフンが連日見つかるということは、クマがしっかりと採食行動をとっていることの証明です

<このフンの内容物には、柿の実のタネやヒメグルミの外殻、アケビの種などが含まれています>

 

 このフンの内容物には様々なエサ資源が含まれています。そしてこの調査区で「柿の実の種」が含まれたツキノワグマのフンが確認されたのは、今回が今シーズンで初めてとなりますその一方で、定点観察地点のインジーケーター(指標・目印)としている人里エリアの柿の木には「大きな変化はありません」。このことから、この追跡個体SB1は「里山エリアの山中を中心にエサ資源を採取しており、屋敷林や人里へは(まだ)侵入していない」と思われます

 

 これが「追跡個体SB1の警戒感と慎重さ」によるものか、あるいは「里山エリアのエサ資源だけで目標摂取カロリーが充足しているのか」は分かりませんが、興味深い観察結果です。全国各地からはツキノワグマに関する様々な報道や言説が流れてきますが、「ツキノワグマをめぐる自然環境と現状は各都府県や地域毎に大きく異なっている」ように思います

 

<この調査区の紅葉も進んできています。紅葉の様子からも旧薪炭林の樹種の豊富さが分かります>