里山のツキノワグマ 101 〜ミズバショウの群落とホオノキにクマは寄り付くか?〜

 今日(2021.05.05)は連休の最終日ですが、雨が降る前に早朝の定点観察を実施しました。その結果、新しいツキノワグマのフィールドサイン(生態痕跡)の発見はありませんでしたが、クロサンショウウオやヤマアカガエルの卵塊を観察できました。

<左上:奥山である守門岳は残雪が豊富 右上:里山ではミズバショウの花が見頃です>

<左下:田んぼの用水にはヤマアカガエルが産卵 右下:溜池にはクロサンショウウオの卵塊>

 

 「里山のツキノワグマ」に関する調査は令和3年度も継続する予定ですが、今年はブナの花芽を沢山見かけますので、秋にはブナの実が豊作となる可能性も考慮しつつ里山と奥山の両方を継続して観察しています。「ツキノワグマ」と聞くと「食べ物はドングリ」という風に連想しがちですが、当然のことながらツキノワグマはドングリだけを摂食している訳ではありません。当地(新潟県魚沼地方)のツキノワグマの食性について言えば、「昆虫(アリや毛虫)も食べれば植物(ネマガリタケやイラクサなど)も食べる雑食性」です。雪消え直後にはブナの新芽や雪崩に埋没したカモシカなどの遺骸も摂食していますし、これから夏にかけては沢筋に生育しているシシウドやミズバショウなどを求めて山中を移動すると思われます。

 昨冬の雪上調査では「この調査区内のホオノキにツキノワグマの爪痕が数多く見つかりました」が、「仮にツキノワグマがホオノキの葉を好んで摂食しているとすれば」「今後この調査区で何らかの食痕を発見できる」かも知れません。以前に記述したミズバショウへの食害と併せて、対象物の観察を続けてゆきたいと思います。

 

<左上:ミズバショウの群生地に変化無し 右上:里山ではホオノキが展葉を始めました>

<左下:里山には野生のサクラも豊富 右下:田んぼの周りにはホンドタヌキの足跡>

 

 当地の里山(旧薪炭林)は雪消えが早く、植物の種類も豊富です。野生のサクラ(ヤマザクラやオクチョウジザクラなど)も沢山咲いていますが、サクラの実もツキノワグマの餌資源となります。ツキノワグマにとって里山(旧薪炭林)は「餌資源に恵まれた魅力的な新天地」なのかも知れません