アジアモンスーン気候と中学生

 今日(R02.7.15)は地元の中学1年生の皆さんが校外学習で浅草山麓エコ・ミュージアムを訪れてくれました。前回は「素数の意味とセミ(蝉)の生存戦略」について学びましたが、朝から雨模様の梅雨本番という事もあり、今日のメインテーマは「アジアモンスーン気候」。皆さん中学1年生の社会科で「世界の気候区」を学習したばかりという事で、生徒さんの反応も上々です。

 

エコの人:「モンスーン気候って言葉知ってますか?」

生徒さん:「はい、知ってます!」

エコの人:「じゃあ、一年を通じて雨が少なくて、でもある季節にちょっとだけ雨が降る気候は?」

生徒さん:「ステップ気候です!」

エコの人:「すごいね、良く勉強してるね。じゃあ、海の近くで西風が吹いていて、一年を通じて暮らしやすい気候は?」

生徒さん:「西岸海洋性気候です!」

エコの人:「すごい!すごい!さすがだね!」

 

 というような導入で「アジアモンスーン気候の仕組み」と「日本の梅雨」、そして「モンスーン気候の恵みや社会構造の変遷、自然生態系の特徴」などについて質疑応答を重ねながら、ワークショップ的な進行でレクチャーしてゆきます。中学生の皆さんに伝えた内容ですが、

 

・日本はアジアモンスーン気候の影響下にあるので、6月から7月に雨が多く降る(梅雨という気象現象)のは必然。この豊富な雨量が日本の稲作を支えている。

・雨が多く降る時期が経験的に分かっているので、農業(稲作)における計画性や協調性などが日本社会の基層を形作っている。

・水田管理の技術と稲作の生産性の高さがアジアモンスーン地帯の人口を支え、歴史と文化を育んできた(稲作文化圏)。

・治水と利水の技術もアジアモンスーン地帯における農業技術とともに発展してきた。

「モンスーン気候と稲作」を基層とした社会構造と文化を有するアジアの国々では、モンスーン気候を共通項として「お互いの文化が密接に影響しあっている」。中学校の教科学習はみんな繋がっている。どの教科もこれからの皆さんの人生で活きてくる内容。国語で学ぶ古文や漢文はモンスーン気候がつなぐ東アジアの自然観や思想、哲学も含む社会科や理科、数学、英語など全ての教科で楽しく一生懸命に学んでほしい。

 

という感じです。今回はユーラシア大陸における「ステップ気候」と「騎馬民族」、「文化の東西伝播」「ローマ帝国と中国文明」「ヘレニズム文化」「シルクロード」「万里の長城」「元寇」「鎌倉幕府」などには触れませんでしたが、中学生の皆さんとは秋以降も(大陸からの移動性高気圧におおわれた秋晴れの日などに)継続して講座を持ちたいですね。

 レクチャーの後は全員で自然観察コースに出掛け、たくさんの避暑トンボやカタツムリを見つけては大いに盛り上がりました。中学生の皆さん、来館ありがとうございました。