自然観察ノート2021.05.11 〜「覚え違い」から垣間見る本質〜

 今朝の新潟県魚沼地方は雲は多いながらも、少しだけ青空が見える朝となっています。守門アメダス観測点における最低気温は6.3度、日中の最高気温は17度と予想されています。周囲の田んぼでは田植えが進んでいます。

<左:里山ではユキツバキも花盛りです 右:ウワミズザクラももうすぐ開花期へ>

 

 さて、ここ数日「福井県立図書館」の「覚え違いタイトル集」が話題となっているようです。司書の皆さんと利用者の方との「レファレンス(照会)業務」での遣り取りが目に浮かびます。例えば、

 

問い:「あなたの思う通りに生きればいいのよみたいな本」

   「そこで咲け」「咲かれたところで開きなさい」

回答:『置かれた場所で咲きなさい』渡辺和子∥著 幻冬舎 2012年刊

 

問い:「鳥の学者だけどそんなに鳥が好きではない」みたいなニュアンスのタイトル

回答:『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ』川上和人∥著 新潮社 2017年刊

 

問い: 今年発行された本で、恐竜博士になる途中みたいな感じの本。

回答:『もがいて、もがいて、古生物学者!!』木村由莉∥著 ブックマン社 2020年刊

 

問い:昔からあるハムスターみたいな本

回答:『ハムレット』シェイクスピア/作 研究社 2010年刊

 

問い:「人生が片付くときめきの魔法」

回答:『人生がときめく片づけの魔法』近藤麻理恵/著 サンマーク出版 2011年刊

 

問い:「100万回死んだねこ」「100日後に死んだ猫」

回答:『100万回生きたねこ』佐野洋子/作・絵 講談社 1977年刊

 

という感じで、納得したり笑顔になったり、図書館って良いなあという気持ちを新たにします。こうして司書さんが見つけてくれた本ですから、こちらも読みたくなりますね。

 

 自然観察でも似たような場面があり「トキソウ」と「サギソウ」、「ゲンジボタル」と「ヘイケボタル」、「ヤマネ」と「ヤマメ」、「シラウオ」とシロウオ」、「アカザ」と「アサザ」などは間違えやすいかも知れません。それにしても、図書館の司書さんの推理力や発想力は素晴らしいですね。日本語では「当たらずしも遠からず」という言葉がありますが、「覚え違いのタイトル」の中にも「その本や著者のメッセージの本質」が見え隠れしているところに人間の存在の暖かさを感じます。

 新潟県立図書館のレファレンス情報も分かりやすく整理されていますが「覚え違い」のページは無いようです。ちなみに新潟県立図書館の予約リクエスト第1位は「白鳥とコウモリ」東野圭吾 著 幻冬舎(2021.05.11現在)とのこと。ミステリー小説ですが、ここでも自然系のタイトルが人気なんですね。

 さて、前述した「トキソウ」に関連してこの度新潟県では「新潟県希少野生動植物保護条例」が制定され、捕獲や採取が禁止されてる種への違法行為には2021年5月1日より罰則が適用されることとなっていますので、こちらは「覚え違い」がないようにしたいですし、指定種以外でも乱獲や生息地の撹乱行為は望ましくないのは言うまでもありませんね。

 

<同条例での指定種(2021.05.01時点)>

【両生類】ハクバサンショウウオ【昆虫類】オオモノサシトンボ、チャマダラセセリ、クモマツマキチョウ、ゴマシジミ【植物】オキナグサ、ツクモグサ、ベニバナヤマシャクヤク、サルメンエビネ、ユウシュンラン、コアツモリソウ、キバナノアツモリソウ、クマガイソウ、サギソウ、ムカゴソウ、トキソウ

 

引用元:

福井県立図書館ホームページ中の「覚え違いタイトル集」より

http://www.library-archives.pref.fukui.lg.jp/tosyo/category/shiraberu/368.html

新潟県立図書館

https://www.pref-lib.niigata.niigata.jp/