自動車の走行風が分布拡大を後押し? 〜特定外来生物オオキンケイギクの翼状片付痩果〜

  今日(R02.06.30)の新潟県魚沼地方は薄曇りの朝を迎えています。守門アメダス観測点における最低気温は16.1度、日中の最高気温は26度と予想されています。気温差が大きくなりますので体調管理に気をつけたいと思います。

 さて、先日新潟県内の国道を移動する際に、路肩にあるオオキンケイギクの群落を数多く目にしました。黄色い花をたくさん咲かせるオオキンケイギクは、観賞用などとして国内に導入されましたが、カワラナデシコなどの在来の植物を淘汰することが懸念されているため、現在では特定外来生物に指定されています(※)。そして道路の両側に咲いている様子を観察すると、「オオキンケイギクは路肩に沿ってぐんぐん線状に分布を拡大している」印象を強く持ちます。

 オオキンケイギクの種は「小さな翼が両側に付いた小さな痩果(固くて平たい形状)」ということです。オオキンケイギクの原産地である北米大陸での自生地は「牧場や草原、起伏のある丘、地表を新しく均した場所など」であり「(北米での)ガーデニングでの栽培に特別な世話は不要(日本では株の移動や種の売買はできません)」と英文の解説にありますので、やはりパイオニア環境に強い植物なのですね。

 道路沿いのオオキンケイギクですが、秋になって成熟した種(翼状片付痩果)はどのような挙動を示すのでしょうか。道路の路肩にそって「まるで植栽されたかのように一列に並んだ様子」から、「自動車の走行風で巻き上げられたタネがより前方へ移動したり、雨天時などは自動車の車体にくっついたりしながら遠くまで移動している可能性」があるのかもしれません。オオキンケイギクの原産地である北米大陸では、強めの風の条件下で「ちょうどよく(”綿毛のような散布ロス”を防ぐために飛びすぎない)分布を広げるための翼状片付痩果」なのでしょうが、日本では皮肉な事に「自動車の走行風と翼状片付痩果との組み合わせ」がその分布拡大を後押ししている可能性を、個人的に見出しています。

 新潟県魚沼地方でもオオキンケイギクが分布を線状に広げ、道路の路肩に咲くようになりました。生態系保全のために「特定外来生物として駆除できる個体や群落」は、見つけ次第早め早めに対処したいと思います。

 

<参考>

環境省「特定外来生物の解説」

https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/list/L-syo-01.html