只見線キハ40形(丸目ライト)ラストラン 新型車両へバトンタッチ

 自然観察の話題からはちょっと離れた分野になりますが、新潟県魚沼市と福島県会津若松市とを結ぶJR只見線で運行されている現行車両「キハ40形」が、まもなくラストランとなり、新型車両へ入替となります。このため、昨年の秋くらいから四季折々の沿線の風景をバックに「キハ40形車両」の写真やビデオを撮影しようと、全国から多くの鉄道ファンの方が当地へ通うようになっています。 また「只見線沿線のノスタルジックな風景」は様々なマンガやアニメ作品のモチーフにも採用されているらしく、ファンの方が聖地巡礼する路線でもあります。

 只見線のキハ40形丸目車両は、春の新緑のブナと残雪をイメージさせる「緑・白」の組み合わせの他に、清流と雲をイメージさせる「青・白」の組み合わせ、さらには「縁結びのラッピング車両」などもありますが、どれもが沿線の風景にマッチしていますね。また田植え前に水を張った田んぼと、この水面に車窓からこぼれる室内照明を写す「2両編成の夜の只見線」は、「越後の銀河鉄道」のようでもあります(季節限定・夜のウォーキングのお楽しみ)。

 キハ40形の魅力は人それぞれでしょうが、個人的には丸い前照灯(目?)と赤色灯(ほっぺた?)が生物デザインに通じているようで、レトロ(懐古風)で温かみのある味を感じます。真冬に雪原を駆け抜けて走る丸目ライトのキハ40形の姿は、豪雪に立ち向かう越後の人々の強さを投影しているかのようです。まさに1980年から豪雪の地を走り続けたキハ40形の40年でした(※)

(写真は2020年2月に撮影しました)

 

 JR只見線は柿ノ木駅や田子倉駅など、現在では廃止された駅を含めて何回も利用してきましたが、魚沼盆地や破間川の渓谷、浅草岳と鬼ケ面山の雪蝕(食)地形、只見川沿いの山里の文化など、沿線の風景は自然観察の素材としても様々な可能性があることから、当施設では「只見線を利用した自然観察会」も複数回実施してきた経緯があります。車窓から眺める自然観察も味わいがあり、只見線の魅力と併せて大いに人気があります。

 今回は「キハ40形丸目車両のラストラン」ということで、沿線で利用している高校生などの住民の方には特段の不便は無いと思いますが、鉄道ファンの方にとっては感慨深いものがあるのでしょう。また過去の事例から、旧国鉄カラーの車両などが今後特別運行されるかも知れませんね(人気のある蒸気機関車は沿線の設備の関係で運行は難しいと聞き及んでいます)。只見線は越後と会津とを結ぶ生活路線でもありますので、今後とも路線存続の観点から乗り鉄ファンの方はもちろん、撮り鉄ファンの方からも大いに乗車利用いただければ幸いです。

 工業製品とは異なり、自然界の生物の場合「地球上から絶滅した生物種が自然状態で復活することはありません」。だからこそ、私たちは「現存する生物種のラストランとならないように」、「生物種の保護と保全」に様々な角度から取り組む必要があるのではないでしょうか(ちょっと強引な結びですが・・)。

 

<参考>

新潟日報電子版(2020.06.05)より

https://www.niigata-nippo.co.jp/news/local/20200605547833.html