「魚沼の里山は生き物でいっぱい」 〜ハタネズミとアナグマ〜

 新潟県魚沼地方では今のところ人里へのクマの出没が落ち着いているため、里山エリア(昨年の夏から秋にかけてツキノワグマが頻繁に出没した場所)での早朝のウォーキングと自然観察を再開しています。周囲の山々には残雪が沢山ありますが、遠くに望む毛猛三山はこのところの陽気で雪解けが進んでいるようです。ツキノワグマの冬眠明けも間もなくです。

<左上:雪解け水を集める破間川 右上:ハタネズミの冬期トンネルの痕跡>

<左下:橋の袂にあるムジナの巣穴? 右下:巣穴のアップ>

 

 雪解け直後の法面には「積雪で押し倒されたクズやススキ」が腐食せず積み重なった状態にありますが、冬のハタネズミはこうしたバイオマスが蓄積した環境(餌場)を好むようで、地面と積雪面との境界に作られた「迷路状のハタネズミの冬期トンネル」が明瞭です。また朝晩に通勤車両が行き交う道路の橋の袂には「アナグマ(地方名:ムジナ)」のものと思われる巣穴が確認できます。

 ハタネズミもアナグマも「里地・里山を代表する哺乳類」です。ハタネズミはその名の通り、畑などの草地環境を好むずんぐりむっくりした姿(ハムスターに似ています)の野ネズミの仲間です。一方のアナグマもその名の通り「穴掘りが得意な中型の哺乳類」ですが、随分のんびりした性格であり、日中に目撃される事も多々あるような身近な動物です。生態学や動物学の基本をマスターした方であれば尚更ですが、これらの動物について「人間が奥山をめちゃくちゃにしたから、ハタネズミやアナグマが人里近くに逃げてきた」「森には生き物の気配はゼロ」という解釈は難しいでしょう。正に論より証拠ですが、自然観察での小さな発見を積み重ねることで「自然の本当の姿」が見えてきますし、「どの言説がより現実に近いのか」も徐々に明らかになります。新潟県魚沼地方の里地・里山は様々な生き物が生息する賑やかな空間です

 さて、今週末の奥山エリアですが金曜日の寒気と降雪により足跡がリセットされそうですので、冬眠明けのツキノワグマ調査として「テレマークスキーを使った奥山エリアのラインセンサス」を予定しています。守門黒姫の北側(破間川源流域)や左沢谷地などの自然林(原生林もあり)で、今シーズン初のツキノワグマの足跡が発見されるかも知れません。休日が楽しみですね。